プログラミングノート

一からものを作ることが好きなエンジニアの開発ブログです。

JTPAシリコンバレーカンファレンス2009

アメリカに来てもう4日経過。次の日に移動しやすいように宿泊先を変えているので色々大変です。やっとネットが繋がったので3/21のカンファレンスまとめです。講演者、パネラーの詳細やバックグラウンドはあまりメモしていないので各々要点だけですが。

講演1 梅田望夫

講演内容は「自分の力と時代の力について」

最初にSV(シリコンバレー)に来たのは今から約20年前の1989年、28歳の時。
この時点ではSVに住むとか働くというイメージは全くなかったが、結果的にはこの時から6年後には移住していた。
自分の力よりも時代の力が大きかった、後押しされるようにして来れた。

時代の力とは何か
  • 世界経済の状況

今はかなりどん底、SVも例外ではない。
今は運だけで仕事をつかめないが、94,5年頃は行けた。

  • 日本の力

30年程前はJapanマネーが強かったため、会社の勢いで行けた。
今は残念ながら元気がなく、会社には頼れない。

  • 自分が得意な技術、産業の成熟度

30年前はITにものすごい可能性があった。
ITは昔よりも成熟しているため、これからは難しい時代。


30年前と比べると、今は時代の力に押してもらえる期待は少ないが、自分の力を増幅しているツールは揃っている。ミクロな視点で見れば、ツールを使いこなせる人などは自分で可能性をこじ開けることが出来る。

 
例えば今回のカンファレンスのように、ウェブで仲間を集って現地集合といったことは今の時代だからこそ可能になっている。昔にはなかった道具を使って自分の力を伸ばして行って欲しい。

自分の力をどうやって増幅していくかを考える

脳科学、バイオなど最先端の知を身につけていく。
少し無理をしたら留学できるのであれば、20代のうちに留学することを勧めます。

梅田さんが今の若者であればSVに来てITをやっていたか

やっていない。
当時誰もやっていなかったからITをやった。

講演2 大澤弘治氏

Entreprenenrial Approach
  • 恐怖心に打ち勝つ精神力

小さいころから柵に囲まれている小ゾウは、大きくなっても柵を壊そうとしない。
小さいころに壊せなかったという事実が染み付いているから。

  • クリエーティブたれ

不況でレイオフが続いても会社が存続できるのは優秀な人材がいるから。

  • インテリジェンス

留学してみるとか。

  • あきらめない!!

これが一番重要。50億のVCとか出来ると思っていなかった。
成功とは失敗をマネージメントし続ける事。止めなければ失敗しない。

  • チームプレイ
  • 明るいこと

講演3 金島秀人氏

自分を可能な限りよい場所に置くこと。
ベンチャーはビジネスモデルが大切。
ビジネスモデルが新しければそれだけで大きくなれる可能性がある。

SVでのキャリアアップとは

学歴や年齢よりも職歴が大切。
3,4年で転職する。
横展開(全く違う分野に挑戦)で幅を広げる人が多い。
色んな分野を知っているのが大切。
Ph.D+マスターや、複数のマスターを持っている人もいる。
アメリカでは最低限マスターを持っていないと専門とは言えない。

SVスピリットとは

世界中の意欲のある人が集まるビジネスの競技場。
異質なもの、尖っている人が良い。
意思として楽観論に富み、挑戦することが善。
自分の好きな事、得意なことを仕事にする。
今いる会社は自分の個性を発揮できる場であるべき。

世界で通用する人材になるために

最終学歴をSVで取得し、SVで就職する。
海外で生活して日本を外から見る。
自分の強みを磨き、経歴を生かし、さらに発展させる。
様々なことなるスキルを有する人とのコネクションを広げる。
人生のよきパートナーを得る。

パネル1 アメリカに来てノーベル賞を取れ!

ノーベル賞を取るために来るのはダメ、世の中に貢献できる研究ができた結果取る事が出来る。

研究としてSVが優れている所は

まだ誰もやっていないことこそやりがいがあるという認識。
他の研究者とのネットワークを作りやすい。
研究費が出やすい。
日本の教授ほど雑用が多くない。

時間の使い方は

世界の人とやっているので基本的に24時間。
仕事とプライベート、あまり生活を分けていない。

研究して行く上で1番大切な事

楽しんでやる。
人生は一度きり。
やりたいことをやる。
自分が楽しくなければ良い研究はできない。

大学であっても完全に好きな事が出来る訳ではない

ベンチャーを作れば100%好きにできる。

パネル2 シリコンバレーで起業!

日本と比べてどういうところが起業しやすいか

日本は失敗した時のイメージが強すぎる、家がなくなるとか、食べていけなくなるとか。
アメリカには気軽さがある。
会計、人事のアウトソースなど、アウトソース環境がそろっている。
失敗が汚点にならない。
資金はもちろん、優秀なエンジニアの採用など、VCから色々サポートを受けられる。
CFO専門の人をパートタイムで雇ったりできる。
コア業務に集中していかに早くリリースし、マーケットシェアをとるか。
従業員の意識が違う、スタートアップに参加して失敗しても仕方がないと思っている。

起業にあたって

決断力と実行力、スピードが大切。
イデアがあるなら人がやる前に実行し、他社にコピーされる暇を与えない。
後悔しないこと。
人のせいにしないこと。
プラン通りに行くことなんてない、外部環境による変化はいくらでもある。
決めた事はやり抜く。

起業を目指す方へ

お金を集めるためにビジネスをすると失敗するので、良いプロダクトをどうやって出すかにエネルギーを使う。
失敗してもよい、恐れずにやって欲しい。
まず日本で種をまくというのではなく、まずは海外を狙え。
日本は客の要求レベルが高く、マーケットが小さい。海外は客の要求レベルが低く、マーケットは大きい。


スタートアップは良い人材が集まりにくい。
不況時はレイオフなどで良い人を採用しやすい時期であるので、ミクロ視点ではチャンス。
VCが資金を出すのはExitかIPOできる可能性のある会社。

 

パネル3 渡米を決意した理由

日本で感じた閉塞感は解消されたか

エンジニアも全て自己主張を要求される。
成果を出せば時間は自由
マネージャもエンジニアを理解しようとしてくれる。
人の事をそんなに気にしない、メインストリームがない。
日本に生まれてもアメリカの文化に合う人もいる、なじむ文化を探せばよい。
フレックスはそれなりの文化がないと上手く行かない。
アメリカは同僚になるひとが面接をする、プログラムの問題を出したり。
会社のために自分があるのではない、自分のやりたい事があるからいる。
会社を変えるのではなく、自分が違うところに行く方がよい。

アメリカに来る前に準備したことは

英語とプログラミング。
仕事がちゃんと出来るとみとめられれば英語力はそこまでなくても大丈夫。
英語が上手くなってからこようと思ったら、アメリカには一生これない。とにかくこい!

スケジュール、クオリティを守る秘訣は

マネージャの意識。
責任範囲が明確、守れなければクビ。

パネル4 Yes we can (lean to speak English)

実践あるのみ。
とりあえず相手の言っていることが分かれば何とかなるので、リスニングは大切。
まず留学してから仕事に就くというのがよくあるパターン。
最初の2,3年は英語は自分のボキャブラリを使って伝わればよい。
受験英語は役に立つ。ちゃんと勉強できていれば来てからの上達が早い
TOEIC800ちょっとでも辛い。
駅前留学は役に立たなかった。
外国人慣れすることが大切。英会話学校の無料レッスンを受けまくって慣れた。

パネル5 転職して給料2倍

日米の転職に関する違い

人事はキャリアマネジメントには一切関与しない(何年経験したから部長になるとか)。
基本は各個人が自分で考えて移動する。マネジャになりたければ、マネジャ職に応募する。
日本でよくある転籍(出向?)はない。
給料は転職の際に交渉して上げる30, 40年会社に勤めようという意識はない。
長くて5年、10年在籍している人はほとんどいない。
気楽に転職できる 来週辞めるからという感じでさっくり。
ランチでじゃあまたねっていう感じ。

転職の理由

転職先の会社の勢い。
友人の紹介。
今やっている仕事が飽きた。
トレンドが変わるので、キャリアを変えないとやっていけなくなる。
3年で転職すると決めている。

転職のメリット

ネットワークが増える。
自分が転職するのと同様、同僚も転職するので、広範囲のネットワークが築ける。
SVでどこでも行けるようになる。
やりたくない仕事を辞めて自分のやりたいことをできる。


アメリカに来るのは留学が一番良い方法。
外資系の日本法人に入社し、HQに転籍するのはお勧めルート。
日本で悶々とするのはもったいない、だめだと思ったら転職するのが一番早い。

パネル6 プログラマ35歳定年説を破壊する

結婚したら、子供が出来たら仕事のやり方を変える必要はある。より効率的に仕事する。
市場の問題ではないか、アメリカではプログラマの受け皿がたくさんある。
日本はそもそもソフトウェアの輸出量が少なすぎる、産業として成り立っていないのではないか。
そもそもアメリカではプログラマとは言わない。エンジニア、ディベロッパと言う。
マネージャよりもお金をもらっているシニアエンジニアもいる。
エンジニアがすごく大切にされている。
日本ではずっとプログラマというのは厳しいが、SVにはピュアエンジニアリングなパスが存在する。
最近では開発体制もグローバルになってきている。
給料から見ると、SVのエンジニアは海外のエンジニアの10倍のパフォーマンスを出さないとだめ。
単なるプログラマではだめ、アーキテクトが必要。
日本でオープンソースで頑張るのは大変、SVなどフォローの風が強いところでやる方がよい。
SVでは問う先が世界になる。エッジにいることは大切。
日本で通用するプログラマであればSVでも通じる。
ただし、コミュニケーションができなければキャリアアップできない。
SVではマーケティングで活躍している日本人が少ない。

講演4 渡辺千賀氏, 海辺美和氏

人を雇うか、VCを入れるのが起業で、一人でやるのはフリーランス
日本でサラリーマンをする方が、SVで働くよりも恐怖。
色んな事はやってみると怖くない、とりあえずやってみよう。
分からない事はやってみよう、次は何が来るのかは誰にも分からない。
一流のVCでも成功するベンチャーは分からない。
いつまでも情報収集していても進まない。
3年以上先のことを心配するのは地震がくるのを心配するのと同じ。
1年やっていければその次の年も多分行ける。
自分が変われなければ周りも変わらないし、もちろん会社も変わらない。
待っていてもだめ、まずは自分にできることをちゃんとやる。
あまり人の言った事を真に受けない事、自分の持っている事が一番大切。
思い入れが強すぎると失敗する、引く努力も大切。

カンファレンスを終えて

全体を通して感じたことは「とにかく来たら何とかなるよ」というメッセージでした。ネガティブな部分は隠されているのだと思いますが、エンジニアであればそれ以上のメリットを享受できるのがSVの魅力なのだなと思います。


アメリカに行こうかどうか考えて、英語ができないとか、お金がないとかできない理由を挙げるのは簡単ですが、どうすれば行けるのかを真剣に一度考えてみるのもいいかなと思いました。